井筒氏の「地域での自然エネルギー普及に向けた推進組織についての研究」の博士論文の要約を読む。この論文は、岡山県備前市の、備前グリーンエネルギー(備前GE)の活動を中心として、地域主体の自然エネルギー活動、発展の要諦をまとめたものである。
結論は、自然エネルギーを推進する主体としてDA(ドライビングアクター)、人間関係の重要性を論じ、他のアクターとの関係性を含めたフレームワーク構築をおこなっている。
地域主体の自然エネルギー普及の先行的な実証研究として評価できる一方で、以下のような問題点も指摘できる。
私のコメント
- 研究期間は2009年11月以前の余剰買取前と余剰買取り後であり、2012年7月の全量買取り後のダイナミズムが十分に考察されていない
- 備前GEの活動分析が中心で、サンプルが十分なのかという問題
- フレームワークはステークホルダー分類はあるが、このステークホルダーにどういう価値が創出されたのか? その創出メカニズムはどうなっているのか?という肝心の考察がなされていない点。実際にプロジェクトをおこなう場合にはステークホルダーのコンフリクトの調整メカニズムなどは重要である。
- プロジェクトがうまくいっているという評価基準が曖昧である
- 自然エネルギーの地域普及モデルの一般適合性に欠けている
という点が指摘できる。
より、建設的にはどう変えるといいのか?
- 期間を2012年の全量買取り後の期間にする、もしくはその前後比較を研究対象期間とする
- サンプル数をもっと多くし、一般性を高まる
- プロジェクトの評価基準を明示した上で、成功失敗の要因分析をおこなう
- ステークホルダーに対する価値創出プロセスを詳細に分析する。時系列を含めてダイナミック分析をおこなう
- エネルギーの地域普及モデルのフレークワークを提示するとともに、今後の、国、地方自治体のエネルギー政策へのインプリケーションを入れる
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